今回は、フォアハンドストロークのグリップに関するお話しの、後編(完結編)となります。
前編、中編の記事は、こちら⇩です。
皆さん、こんにちは。 さて、今回は、フォアハンドストロークのグリップ(握り方)にまつわるお話をしていきます。 ただ、グリ ... 続きを見る 今回は、フォアハンドストロークのグリップにまつわるお話の中編になります。 前編は、こちら⇩です。 前回の記事で、フォアハ ... 続きを見る
フォアハンドストロークのグリップ(握り方)は、どれが良い?【前編】 世界のトッププロのグリップ
フォアハンドストロークのグリップ(握り方)は、どれが良い?【中編】イースタングリップ VS ウエスタングリップ
今回の記事では、セミウエスタングリップとエクストリームウエスタングリップについて解説をしてから、フォアハンドストロークのグリップについてのお話をまとめたいと思います。
セミウエスタングリップについて
前回の記事で、イースタングリップとウエスタングリップの特徴を見ましたが、セミウエスタングリップは、両者の中間に当たるグリップです。
その性質も、両者の中間的なものであり、バランスの取れたグリップと言うことができます。
前編でご紹介したように、私は、「セミウエスタングリップ」と「ウエスタンに近いセミウエスタングリップ」とを分けて分析していますが、どちらもセミウエスタンとしてまとめて捉えると、男女とも、世界ランキングトップ20の約半数は、セミウエスタングリップを採用していることになります。
また、現在のATPツアーの中で、「ビッグ4」と呼ばれる4人のうち、ナダル、ジョコビッチ、マレーの3人がセミウエスタンです。
イースタングリップからセミウエスタンにグリップを変更する選手もいますし、ウエスタングリップからセミウエスタングリップに変更する選手もいます。
例えば、ジョコビッチは、ジュニアの頃はウエスタングリップでしたが、現在は、ウエスタンに近いセミウエスタングリップです。
いわゆるエクストリームウエスタングリップについて
ウエスタングリップよりも厚い特殊なグリップのことを、一般に、エクストリーム(「極端な」という意味ですね。)ウエスタングリップと言います。
私は、このようなグリップを、生徒に勧めることはありません。
なぜなら、そのようなグリップでは、「手のひら」ではなく、「手の甲」でボールを打つ形に近くなり、ボールに対して効率的に力を伝えることが難しいと考えられるからです。
また、体から遠くのボールが打ちにくくなる、ということも理由の一つに挙げられます。
しかし、前編の記事でご紹介したように、世界のトッププロの中にも、このエクストリームウエスタングリップを採用している選手がいます。
上の写真のムグルッサも、その1人です。
ムグルッサは、2016年に全仏オープン、2017年にウインブルドンを制していて、世界ランキング1位にもなっている、すごい選手です。
ウインブルドンのサーフェスである「芝」は、全てのサーフェスの中で、ボールのバウンドが最も低くなり、低い打点でボールを打つことが多くなるため、「厚いグリップの選手は勝つことが難しい」というのが一般的な考えとなります。
しかし、私が、「厚いグリップは、低い打点でボールを打つことが難しい」という点に疑問を抱いていることは、前回の記事で触れました。
ムグルッサは、極端に厚いエクストリームウエスタンであるにもかかわらず、ウインブルドンのタイトルを取っているので、私の主張の正当性を補強してくれる、ありがたい選手です(笑)。
したがいまして、エクストリームウエスタンを、あえて勧めることはしませんが、現状そのようなグリップで上手くプレーができているのであれば、グリップの変更をせずに、そのまま様子を見てみるのが良いと思います。
まとめ
グリップの変更は慎重に
前回の記事でも申し上げたように、私は、イースタンからウエスタンの間であれば、どのグリップでも良い、どのグリップでも上達できる、と考えています。
もっとも、グリップを変更することによって、自分の思い描くボールを、より打ちやすくなることがあるのは事実です。
イースタンからウエスタンまでの、それぞれのグリップの性質をよく理解したコーチと相談をして、理想的なグリップを見つけることは有意義なことです。
ただし、上手くプレーができていないからといって、安易にグリップを変更してはいけません。
単なる練習不足が原因で、上手くプレーできていないだけかもしれません。
グリップを変更することによって、今までよりも上手くプレーできるようになるのかどうかを見極めてから変更すべきであるということは、言うまでもありません。
身長とグリップの関係
最後に、身長の低い選手は厚いグリップを採用すべきなのか、という点についてですが、私は、必ずしもその必要はないと考えています。
前回の記事でも書いたように、技術を習得すれば、フェデラーのように、イースタングリップでも頭の高さの打点で強打することは可能であり、頭よりも高く弾んだボールは、どのグリップであっても、ジャンプして打つべきなのです。
確かに、身長の低い選手はウエスタングリップであることが多いです。
しかし、それは、技術が未熟で、現在よりもさらに身長が低かったジュニアの頃に、高いボールを打ち返すべくウエスタングリップになり、それから先にグリップを変更する必要性を感じなかったため、ウエスタングリップのままになっているということだと考えています。
フォアハンドストロークのグリップについてのお話は、以上となります。最後までお読みくださり、ありがとうございました。